2023年7月29日
銀歯は保険診療で最も代表的な素材です。
銀歯は、「銀パラジウム合金」と呼ばれるもので、12%の金に銀や銅・パラジウムなどを合金にしています。
削った歯を型取りして、模型上で作製した銀歯を歯にセメントで装着します。
現在では使用することが無くなった素材に「アマルガム」という銀歯があります。
1970年頃まで一般的に使用されていいましたが、成分に水銀が含まれていることにより使用されなくなりました。
治療時期を覚えていない小さい銀歯の場合、アマルガムを使用している可能性があります。
銀歯は保険診療の適応範囲であるため、比較的安価で歯を入れることができます。
銀歯の形や大きさによって異なりますが、3割負担の場合約2,000〜5,000円で歯が入ります。
神経を取らないむし歯であれば最低3回の来院で、期間は2~3週間で完成します。
①むし歯を削って型取りをする
②出来上がった銀歯を装着する
③しばらく使用して微調整する
ただし、神経の治療が必要な場合、別途回数と期間がかかります。
歯の型取りが必須なため、嘔吐反射が強い方は注意が必要です。
1日で完成することができないため複数回の来院が必要です。
また、耐久性や機能性を高めるためには銀歯の厚みが必要になり、健康な部分を多少削る場合があります。
“噛む”ということについては、保険の銀歯でも高い機能性があります。
例えば、歯を1本失ってしまった箇所に銀歯のブリッジを入れた場合、入れ歯にするよりは自分の歯に近い感覚で使用でき、異物感もありません。
保険適用のレジンと比べ高い耐久性を持っており、大きな範囲を覆う治療が可能です。
しかし、金属は叩くとうすく広がる「展性(てんせい)」と言う性質や、引っ張ると伸びたりする「延性(えんせい)」と言う性質を持っています。
毎日の咬み合わせや咀嚼、歯ぎしりにより歪みが発生しやすく、銀歯が外れてしまったり、銀歯の下がむし歯になってしまったりと、問題が起こりやすくなります。
銀歯のむし歯の再発は痛みを感じにくい場合もあり、また前回に削ったところから虫歯になることから、大きい虫歯、神経を取る処置へと繋がってしまう可能性があります。
前歯(前から3番目の犬歯まで)に銀歯を使用する場合は、前から見たら白く見えるようにレジンで加工した銀歯を使用します。
しかし、パッと見は白く見えるこのレジンは、金属の上にレジンを貼り付けた材料なので、透明感などはなく自然な歯の色とは異なり浮いて見えてしまいます。
※最近では全てプラスチックで作ったかぶせ物をお勧めすることが多くなっています。
犬歯より後ろの歯でも、ニッコリ笑った時や大きくお口を開いた時に見えてしまい、見た目が良いとは言えません。
自分で考えているより、対面した相手からはお口の中が丸見えです。
銀歯は、耐久性が高く永く使用できるイメージを持たれがちです。
しかし、日に日に変形する性質とセメントで接着していること、さらには金属の特性によって寿命は長くて5年、2~3年で問題が起こり始めます。
銀歯はセメントを使用して装着していますが、銀歯の変形やセメントの劣化によって、歯と銀歯の間に空間ができ、そこからむし歯が再発していきます。
また、銀歯は金属のため静電気を発生すると言われています。
その静電気に引き寄せられるように歯垢や歯石がつきやすいと言われています。
歯垢や歯石がついている環境は、むし歯や歯周病にとって活動しやすい環境です。
さらに、レジンより耐久性の高い銀歯ですが、酸に弱いという特性があります。
むし歯菌は糖やたんぱく質を取り入れて、代わりに強力な酸を排出します。
その酸によって歯が溶かされることをむし歯と呼びますが、酸に弱い銀歯も同様に溶かされ、銀歯の下にむし歯ができやすい状況を作ります。
銀歯の下は目視できず、レントゲンでもむし歯を確実に見ることができません。
神経に届く大きなむし歯に育てないため、5年経過した銀歯は「やり替え」が必要になります。
このやり替えでは再び歯を削り、型取りをして後日装着を行います。
そしてまた5年経つ頃にやり替えが必要になり、5年ごとに歯が失われていくことになります。
銀歯を入れることで、金属アレルギーのリスクが向上すると言われています。
銀や銅、パラジウム、スズなどは特にアレルギーになりやすく、金属パッチテストなどで少しでも反応のある人は、銀歯を入れることをできるだけ避けた方が良いでしょう。
既に金属アレルギーの診断を受けている方はもちろん、健康が心配な方はまずはご相談ください。
自分の歯を大切に、永く健康に保ちたいという方には、銀歯の治療はおすすめできません。
患者さまそれぞれのご要望に沿った治療をご提案させていただきますので、お気軽にご相談ください。